ブラック企業にサービス残業させられて労働調停まで行った話


かれこれ10年前の話になりますが、埼玉県のとあるパソコン販売のブラック企業に勤めていた時の劣悪な労働環境で最終的に労働調停まで行ってサービス残業代を勝ち取った話です。今現在、同じようにブラック企業にお勤め中で、サービス残業にお悩みの方に少しでも参考になれたらと思い記事に致します。

運悪くブラック企業に入社


ブラック企業

ブラック企業に入社してから退社するまでの経緯を書いていきます。

就活

15年ほど前ですが、iModeの普及により携帯サイト業界がちょっとしたバブルになってました。私もこのバブルに乗っかって広告収入で食っていた時期もありましたね〜

当時は一発当てようなんて思っていなかったのですが、メン募と待受画像の音楽系サイトを作ったらそこそこヒットし一日のトップページのユニークアクセスが数千にまでなりました。広告単価も急騰し十分な収入を得られるようになってきたので、それまで務めていた建築関係の会社を辞め、サイト運営一本にしぼりました。

調子に乗ってランキングサイトなんかも作って色々やりましたが、所詮一時的なバブルなので長くは続かず結局数年でやめて仕事を探すこととなりました。

求人情報

それまで培ってきたhtmlの知識を活かしたいと思い、Web系の仕事を探しました。

当時はまだバンド活動が生活の中心だったのでバンド活動に支障がない職場を探し、いくつか面接を受けましたが中々条件の合う職場が見つからず困っていました。そんな中、蕨にいつでも求人案内が出ているKという(厳密に言うとQ)パソコン販売の会社がありそこに応募しました。

後で知ったのですが、いつでも求人案内が出ている会社と言うのは逆に言うと離職率が高いという事でブラック企業の可能性が非常に高いとのこと。事業拡大中なら兎も角小さな会社だと危険ということですね。

募集要項はこんな感じ

給与:日給8000円〜(試用期間3ヶ月は8000円)
勤務時間:10時〜19時
交通費:支給
勤務内容:自社Webサイトの更新

時給換算すると1000円なのでまあそんなに悪く無いかなと思い面接に行きました。即採用ですw

ブラック企業の実態


当時はまだ有限会社で、個人事業に毛が生えた程度の感じでした。社長と副社長的な人がいて、その他の従業員が4人でした。社員もバイトも関係ない感じでしたね。もちろん雇用契約書的なものもありません。

出社して驚いたのはタイムカードが無いこと。前の会社では建築現場での仕事だったのでタイムカードはありませんでしたが、その代わりに日報を毎日書いてそこで給料計算してたので、そういう感じなのかな?と思ってました。

実際に働いてみると、10時〜19時と言うのは大嘘で毎日残業でした。酷い時は0時までサービス残業させられましたね。でもこの時は残業代稼げるからいいやなんて思ってました。甘かった。

初めての給料日が来て明細を確認すると、日給×日数プラス交通費のみで残業手当は一切ありませんでした。明細もエクセルでちょいちょいっと作って印刷しただけの簡易的なものです。おかしいとは思いましたが、試用期間なのでしょうがないかなとこの時は我慢しました。

試用期間の3ヶ月が過ぎ、仕事ぶりが認められて日給10000円に昇給。しかし給料日が来て明細を確認するとやはり残業代は一切ない。おまけに毎日残業なのでバンド活動にも支障が出て、スタジオを休むこともしばしば。

当時は音楽活動命だったのでサービス残業は相当なストレスでしたね。

タイムカードがない場合は自分でメモを取れ

色々疑問点があったので調べてみたら、サービス残業させられている場合は手書きのメモでもなんでもいいので出社時間と退社時間を毎日つけるのが有効とのこと。なのでノートに付けてました。

そんな中、会社でエクセルに日報を書かされることになったのでいつか役に立つ時が来るだろうと思い、日報の中に出社時間と退社時間を記述することにしました。これが後々サービス残業の証拠になり大いに役に立ちました。

ブラック企業は気に入らないと即解雇


私が入社するちょっと前に入った人がいたのですが、試用期間が終了したらそこで辞めさせられてました。理由は全くわかりません。

また、もう一人長く務めている人が、ある時に社長に「毎日遅くまで仕事させられてテンションが上がらない」とクレームをつけたところ「いいてーことはそれだけか」と言われ数日後に解雇です。

いわゆる昭和の体育会系で従業員は文句も言えない空気になってました。みんな早く帰りたいのに、社長は家に帰りたくないらしくどっかりと座っているためなかなか帰ることができません。俺が仕事してるんだからお前らも仕事しろ的な空気を醸し出しているんです。パワハラも酷いもんです。

それから次々と新しい人が入ってきて、従業員同士で飲みに行ったりするようになってくるとやはりみんなのサービス残業への不満が爆発しました。でもどうにもならないとわかると早い人は3ヶ月で辞めていきます。

そして極めつけはWさんという10年近く働いている人がある日突然解雇になったことですね。Wさんが休みの日に、Wさんの部署の新人がどうしてもわからないことがあり、Wさんに電話を何度もかけたがWさんが電話にでない事に社長が激怒。それが理由で解雇だそうです。もちろん解雇予告手当なんか出ませんし、雇用保険も未加入なのでWさんはたまったもんじゃありません。

これを見ていた他の従業員は完全に糸が切れて、この後数ヶ月以内に私も含め全員辞めていきました。

サービス残業のストレスにより体調不良

ちょうど入社してから一年位でした。心身ともにかなり疲弊して来てたのですが、ある日突然動悸が激しく起こり、不整脈が現れました。生まれて初めての経験だったのでどうしていいかわかりませんでしたね。

病院行って検査しても原因不明。また、この頃から鬱の症状も出始めてました。辞めてから心療内科に行ってみたところ「鬱」と診断されました。

弁護士との出会いと労働調停

弁護士に相談

Wさんが解雇になった後くらいからみんな辞める決心がついたので訴えてやろうという気持ちになってました。そんな中、サービス残業などの雇用関係のトラブルの無料相談窓口みたいな所に電話をかけた所、たまたまその日の担当の弁護士先生が非常に良い方で、この人なら大丈夫と確信を持てたので依頼することにしました。

それから役に立ったというか勇気をもらった書籍がこちらです。

弁護士の高木太郎先生

私達が依頼したのは埼玉総合法律事務所の高木太郎先生です。労働事件について特に力を入れている先生なので今回の案件はまさにうってつけです。人柄もすごく良くて非常に頼りになる先生ですので、同じようにサービス残業やその他の雇用関係のトラブルでお悩みの方は一度相談してみてはいかがですか?

埼玉総合法律事務所

高木 太郎 | Facebook

労働基準監督署は使えない

念のため、労働基準監督署にも行き報告しましたが、はっきり言ってなんの役にも立ちませんでしたね。行くだけ時間の無駄でした。最初から弁護士に依頼したほうが話は早かったです。

労働調停とは

労働調停とは賃金や残業代などを裁判所を利用して請求する方法の一つです。ただ、労働調停という特別な制度があるわけではなく、通常の民事調停と同じで労働問題が争われている民事調停という意味だそうです。

調停は訴訟と違いあくまでも話し合いですのでそれ程構える必要はありませんでした。

法テラスの利用

弁護士に依頼となるとやはり気になるのが報酬額です。今回もみんな無職の時期でしたので経済的に余裕があるわけでもなくちょっと心配してましたが、高木先生の方から「法テラス」を提案してもらいました。

経済的に余裕のない方が法的トラブルにあったときに、無料法律相談や必要に応じて弁護士・司法書士費用などの立替えを行っています(民事法律扶助業務)。

法テラスホームページより引用

今回は法テラスを利用することによってまず弁護士費用を立て替えてもらい、月々無理のない範囲で返済して行き、調停でサービス残業代を支払ってもらったら残りの分を一括で返すという感じにしました。

弁護士報酬についてもかなり良心的な金額だった気がします。

法テラス|法律を知る 相談窓口を知る 道しるべ

いざ労働調停へ

労働調停はなんか会議室みたいな所でやりました。調停委員という方が3名程いて、相手の連中と弁護士と対面する形でやります。

向こうの弁護士にとっては100%勝ち目のない案件なのでなんか投げやり感がありました。車の事故の過失割合でいうと10:0ですからね。

結局エクセルにつけてた日報がサービス残業の証拠として役に立ち、サービス残業代全額を支払ってもらうことで解決しました。Wさんの場合はそこにプラス解雇予告手当もつきました。慰謝料等はもらえません。それでも私一人で約100万円でしたよ。1年半で残業代100万ってすごいな。

まあ、これを元手にWさんとともに今のパソコン販売事業を立ち上げて現在にいたります。

サービス残業に悩んでいる方の取るべき行動

メモを取る

裁判沙汰になった際は証拠が何よりも重要になってくるので必ずメモを取りましょう。ボイスレコーダーなんかもうまく使うと良いです。タイムカードがあってもデータ改ざんの恐れもあるのでメモを取ることをおすすめします。メモは手書きでもパソコンのテキストファイルでもなんでも構いません。

相談する

前述の法テラスでもなんでも良いのでとにかく相談してみましょう。無料で相談を受け付けてくれる所もたくさんあるのでぜひ利用しましょう。

辞める

万が一裁判沙汰になった場合、その職場には居づらくなるでしょうから覚悟を決めましょう。その仕事にやりがいを感じているならともかく、ストレスを溜めながら今後も続けていくのはあまりよい選択肢とはいえません。私のように体や精神を壊すだけです。サービス残業させている企業なんかたいした給料払ってないでしょうからもっと条件の良い企業を探したほうが懸命です。

仕事なんて選り好みしなければいくらでもありますよ。

以上、ブラック企業にサービス残業させられて労働調停まで行った話でしたが、ブラック企業とサービス残業は今後も無くなるとは思えませんので、自己防衛の手段を覚えとくと良いと思います。

また、現在サービス残業をさせている経営者の方は、後で痛い目を見たくないのであれば雇用についてしっかりと勉強し、やるべきことをやって改善させて下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではでは

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